2025年5月21日
江藤拓農林水産大臣の辞任が発表された

コメ高騰にあえぐ国民に対し「コメは買ったことがない」という無神経な発言をして世論は大炎上
野党から不信任案提出をちらつかされ、火消しに走った石破首相からクビを切られた格好だ
発言はもちろん論外中の論外である
だが、米騒動での度重なる政府の失態を、一人背負わされたという見方もできる
新大臣には小泉進次郎氏を起用

Xではお笑い芸人が「二人続けて『しゃべるアリ地獄』」というポストしている
農業改革待った無しの中、失言でかき回されるのはこれっきりにしてほしいものである

もっとも、自民党が打ち出す理解不能な農政は、大臣の首をすげ替えたところで正常に戻るわけではない
特に今年4月施行された「食糧供給困難事態対策法」はウソとごまかしだらけの代物だ

有事の際、政府が供給目標を設定し、農家に増産計画の提出や作物の転換を求めるこの法律
政府が指示した生産計画の届出をしない場合、20万円以下の罰金を課すというかなり強引なものだ
しかも、現在農家を取り巻く環境を考えれば無理難題としか言いようがない内容となっている
まず、農業従事者の不足が問題だ

農林水産省のデータによると2024年(令和6年)の農業従事者の数は約111万人
2015年には約175万人だったので10年間で64万人も減少している
そのうち65歳以上は約80%、平均年齢は69.2歳

10年後も農家を継続している人はこの中にどれくらいいるだろうか?
新規就農者が増えない限り、農業自体が消滅していく未来しか見えない
農業従事者の高齢化と連動して耕作面積も減少している
最大と言われた1961年は約609万ヘクタールであったのに対し、2024年には427万ヘクタール

60年ちょっとで30%減少しており、これから増加に転じる要素はどこにも見当たらない
また、一度耕作放棄された農地を収穫可能な状態に戻すのは時間がかかる
これで「有事には収穫量を増やせ、従わなければ罰金だ」ではたまったものではない
法律で農家を縛る前に、まず農業の立て直しをしなければ食料安全保障を語る資格はないだろう
そこで農水省は現在カロリーベースで38%である自給率を2030年までに45%にまで上げるという目標を掲げた

しかし、ここでも政府がそれほど積極的とは思えない節がある
主食のコメが減反政策により年々収穫量を減らされているのがその証拠だ
今年に入って「主食用のコメは作るな」といった内容の文書が各農家に送りつけられた

差出人はJAだが、あくまで国の方針を代弁したに過ぎない
この後に及んでもまだコメの増産はさせないというのだからあきれるよりほかない
「自給率向上」より「減反政策継続」のほうが優先順位が高いのは明らかだ
もしカロリーベースの自給率を本気で上げるなら、穀物やいも類の生産を増やさなければならない
野菜や果物は低カロリーであるため、ものの数に入らないからだ

その一方で農水省は「自給率を上げれば、いもばかりの食生活になる」とホームページでぶちまけている
エネルギー量確保を最優先にした場合の極端なメニュー例を提示
国民に自給率向上があたかも無意味であるかのような間違った意識を植え付けようとしている
実現不可能な有事の増産計画と、掛け声ばかりでやる気ゼロの自給率目標設定
この意味不明な「食料供給困難事態対策法」の本当の狙いはどこにあるのだろうか?
それはズバリ食料の「輸入促進と拡大」にある

この法律では、特定食料の輸入促進をすることで食料供給安定を図る取り組みが盛り込まれている
以前から食料輸入についてはJAをはじめとした生産者団体は慎重な姿勢を見せていた

日本の食料自給率の低下、農業の衰退、食料価格の不安定化、食料安全保障の弱体化が理由だ
その反対派を押さえ込み、輸入を正当化する方便がこの法律というわけである
輸入は、国内生産の強化に比べて短期間で食料を確保できる経済的な手段だ
小麦、大豆、飼料穀物などの輸入価格は、国内生産コストよりも低い場合が多い

消費者価格の抑制にもつながるため、国民の支持を得やすいと踏んだのかもしれない
だが、輸入は気候変動や戦争・経済紛争などが起きれば一発で滞ってしまう
日本が輸入に頼っているのは食料だけではない

作物を作るのに必要な資材・肥料の原料もそのほとんどが海外製品だ
輸入がストップすれば国内の農業自体が立ち行かなくなるのは間違いない
農業を切り捨て、大きなリスクのある輸入に舵を切った日本政府
その影には日米合同委員会で合意に至ったある密約が潜んでいる

具体的にはアメリカのユダヤ系企業カーギル社にJAを買収させるというものだ
カーギルのような穀物メジャーは世界中にネットワークがある

たとえどこかで紛争が起こっても、無関係な地域の作物を調達し、提供することが可能だ
日本は衰退していく農業に金をつぎ込む必要がなくなり、別に大きな食料供給源を確保できる
アメリカはあらたな販路とJAが持つ150兆円という莫大な金融資産を引き継ぐ

両者win-winの関係構築のため我が国の農業はいけにえにされたのである
まず手始めに政府はJAの株式会社化を画策している
以前カーギル社はJAの関連企業「全農グレイン」の買収しようとしたことがあった

だが、本体のJAは組合員の総意によってしか物事を決められない協同組合である
当然拒否され、一度は撤退を余儀なくされた経緯があったのだ
今後株式会社になれば買収も容易になる
備蓄米放出の遅れや価格吊り上げ、議員との癒着問題で世間から批判を浴びているJA

自民党から集票マシーンとして利用されてきたが、近年ではその役割も終わりが見えてきている
これ幸いと政府=自民党は一気に潰しにかかっているのだ
新大臣となった小泉進次郎はかつて自民党農林部会長を務めており、その時農協改革にも着手している

今回の「プロジェクト」にはうってつけの人物だ
彼の父である小泉純一郎は郵政民営化でゆうちょとかんぽの資金350兆円を外資に流した張本人である

親子揃ってアメリカが好き過ぎて日本を売ることに抵抗はないようだ
そしてそのおこぼれを預かるのが中国だとも言われている
トランプ関税によって緊張状態にあるこの2つの国も、企業を介して繋がっているからだ

中国がアメリカ企業を牛耳り、そのアメリカ企業がアメリカ政府を動かす
その下にいるしもべが日本という構図だ
これは、自民党政権下では変わることはないだろう
アメリカと中国に飼われるおとなしい「ポチ」でいるからこそ得られる利権がある
それをやすやすと手放すはずがない
もしJAが買収されるようなことになったら、日本の農業は確実に終わる

批判の多い組織だが、外圧から農家を守ってきたのも ほかならぬJAなのだ
このままでいくとコメはアメリカの意向によって生産量をますます落とさざるを得なくなるだろう
今まで食い止められてきた遺伝子組み換え穀物が際限なく流れてくるようになるのも時間の問題だ
「日本のおいしい安全な米を世界に提供するのは、日本がやるべき国際社会に対する責務だ」

コメ不足の根本的解決は後回しにして、さらに海外への輸出拡大まで言及し始めた石破首相
農家に無茶な責任を負わせ、JAを切り捨て、輸入拡大に走る国のリーダーにこれだけは言っておきたい
「日本のおいしい安全な食物を国民に提供するのは、日本の政治家がやるべき日本国民に対する責務だ」
みなさんはどう思いますか?
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