日本の主食は石破政権の手によって、いま崩壊の危機を迎えている

2025年、コメの価格上昇は止まらず、「幻の高級品」と化した
スーパーの棚から商品が消え、あってもひと家族1袋までの制限付き

価格は17週連続で上昇しており、4月27日現在平均で5キロ4,233円

安いものでは1,000円台後半で買えていたものが、2倍以上に跳ね上がった
沖縄那覇市では6,000円超えのスーパーも珍しくない
この「令和の米騒動」は、単なる天候不順や一過性の需給バランスの崩れによるものではない
コメ政策の長期に渡る失策がもたらした結果といえよう
特に問題になるのが諸悪の根源・減反政策である
1960年代、すでに食の多様化が進みコメの需要が縮小気味だった日本ではコメ余りが深刻化していた

戦時中から続く食糧管理法(食管法)により、政府が一旦すべてのコメを生産者から買い入れていた時代
コメが倉庫にうず高く積まれ、保管料が歳費を圧迫していた
しかも過剰な在庫のせいで買い入れ価格が売り渡し価格を下回る逆ザヤが発生
赤字がかさみ、大蔵省からも是正を迫られていた
そこで1971年から始まったのが減反政策である

コメの過剰生産を防ぐため、農家に生産調整を促し、補助金を支給する制度のことだ
生産数量目標を都道府県に割り当て、それに従った農家に交付金を支給する
この仕組みは需給バランスを保ち、米価を安定させることには一定の役割を果たしていた
だがその一方で、不作の際には供給不足のリスクを高めてしまうあやうさを秘めていたのである
そして今を遡ること32年前に大きな危機が訪れる
1993年(平成5年)、日本を記録的冷夏が襲った

コメの収穫量は前年比26%減の約781万トンに激減
スーパーや米穀店ではコメが品薄となり、価格は急騰した
これがいわゆる「平成の米騒動」と言われる出来事だ
このことで国の食料安全保障に対するずさんな計画が露わとなってしまう
また、米騒動と時を同じくして、ウルグアイラウンドにおいて日本はコメの輸入自由化を迫られていた

コメを「聖域」として自由貿易を拒んでいた日本は、米騒動をきっかけに主にタイからコメを大量輸入
それが国際市場を乱したとして、不利な立場に追い込まれていた
結局国内総消費量の4%(約40万トン)をミニマムアクセス米として受け入れることで決着
その後段階的に輸入量は8%(約77万トン)まで拡大し、それが現在まで続いている
「平成の米騒動」と「ウルグアイラウンド合意」

細川護熙元首相「コメ部分開放、ぎりぎりの妥結」 日本経済新聞
この2つが引き金となり、日本のコメ制度は抜本的な改革を余儀なくされた
ミニマムアクセス米輸入開始に向けて、国内法を整備する必要に迫られ、1995年には食管法を廃止
代わりに食糧法が施行され、それまでの政府がすべて管理する体制は改められた
それと同時に約100万トンのコメを全国の倉庫に備蓄米として常備

不作や災害時に市場に放出する仕組みを制度化したのである
ちなみにこの時期、政界も混乱の中にあった
それまで続いていた55年体制が崩壊、自民党は与党から陥落し、細川政権が発足

日本社会党の歩み 写真特集 時事ドットコムニュース
だが、それも短命で終わり、さらに羽田・村山と非自民の首相が政権を引き継ぐことになる
自民党が政権から離脱したとたん、それまで育て続けていた不穏の種を刈る役目を担わされたわけだ
そして今回の「令和の米騒動」ではこの備蓄米制度がまともに機能していないことが判明してしまう
2024年8月、前年からの不安定供給を重く見た大阪府の吉村洋文知事が「備蓄米の放出」を国に要望

これに対し農水省は「需給は逼迫していない」と拒否の姿勢を示した
本来なら備蓄米は市場価格が急騰する前に放出されるべきものだ
だが、農水省は「米価下落による農家の経営悪化」を理由に慎重姿勢を崩そうとしなかった

価格が下がって損失を出すことを恐れたJAの圧力に屈したとも言われている
その後ろ向きな姿勢に国民からの批判が殺到し、ようやく国が重い腰を上げたのは2025年2月
備蓄米放出が始まったのはそれから1ヶ月もあとの3月半ばだった
それも全体の9割はJAに引き渡されている

一般小売業者には全体の1.9%しか届いておらず、価格安定にはなんの役にも立っていない
スピード感のなさと、どこまでも価格の低下を阻止する姿勢に、国民の怒りは高まっていくばかりだ
しかも買い戻し条件付きのため、市場への最終的な供給増にはつながらないというおまけ付きである

日本の食料の「最後の命綱」となるはずだった備蓄米制度は根底からくつがえされた
付け焼き刃の政権とそれを再び引き継いだ自民党の漫然とした対応が招いた最悪の結果である
政府はコメ高騰の原因を高温障害による不作やインバウンド需要の急増としている
しかし、それはまったくの嘘だ

2023年の作況指数は101であり、平年並みの取れ高だったはずだ
インバウンド需要の増加もたかだか0.4%、量にして3万トン程度のものである
翌2024年の作況指数も同じく101
平年並みなのに足りないのはそもそもコメの絶対数が足りていない証拠である

にもかかわらず、今度は流通の目詰まりだと言い訳をしだした
とんだ二枚舌ぶりに怒りを通り越して呆れるしかない
しかも減反政策は存在自体がなかったことになっている
2018年、安倍晋三政権は「農業の競争力強化」を掲げ、減反政策を「廃止」すると発表

生産数量目標の設定をやめ、農家の自由な生産を促す改革として表明された
しかし、これもまったくの見せかけだった
農水省は、目標設定の代わりに「適正生産量」を毎年公表している
JAや地方自治体を通じて農家に生産抑制を指導させ、補助金も「経営所得安定対策」などの名目で継続
要するに他の作物を作るなら補助をするというやり方で農家を補助金漬けにしてきたわけだ
その一方で農業の現場では米価高騰の恩恵は少ない

「肥料や燃料の値上がりで、米価が上がっても赤字」と耕作放棄を選ぶ農家も増えている
毎年10万トンずつ生産量が減少している現状で、「令和の米騒動」は起こるべくして起こったのだ
国はなぜそこまでして減反にこだわるのか
よく言われるのが農政トライアングルの保持のためという理由だ

自民党にとって、農家票は選挙の生命線だ
どの選挙においても、農村部の選挙区でJAの支援が自民党候補の勝利を支えている
農水省は、JA全農や全国農業会議所に天下りポストを確保し、予算配分を通じてJAの影響力を維持
JAは、農家のコメを一手に集荷し、市場価格を操作する力を持つ
国民の食卓よりも、この3者の利益が優先される実態が浮き彫りとなっている
Xでは、「減反政策のツケ」「自民党とJAの利権政治」との批判が噴出

「農水省解体・JA再編」の声が上がっている
だが、それは無意味どころか自民党や一部野党を喜ばせるだけであることを知ってほしい
農政トライアングルは利権の象徴のように言われるが、お互いをけん制し合う抑止の力もある
他の2つが消えたなら、政治家の暴走を止めるものは何もなくなってしまう
実は農政の改悪はほかでも進んでいる
安倍政権の下で行われた種子法廃止と種苗法改正は農家に大打撃を与えた

法律施行後、農家は種子買い入れの負担が増し、農業継続が困難となるケースが続出しているのだ
昨年、立て続けに改正された食糧・農業・農村基本法や農業振興地域整備法も同じだ

どちらも食料安全保障をうたってはいるものの、中身は外国に依存を深める内容となっている
国内の農業が衰退して喜ぶのは日本市場を狙っている海外、特にアメリカである

日本の政治家が気にかけているのは国民でも、農業従事者でもJAでもない
アメリカファーストこそが至上命題なのだ
そもそも減反政策もアメリカの意向の元に作らされた制度だった
自国で生産過剰となった麦を日本に押し付けることが目的だったと言われている
コメ余りの対策に苦慮していた日本政府を焚きつけ、生産の縮小を画策
「コメを食べるとバカになる」という荒唐無稽な話を学者に書かせて消費まで抑えさせようとしていた

「平成の米騒動」でのコメの緊急輸入についてもおかしなことがある
本来は日本のコメに近いアメリカ産を入れる契約はできていた
ところが土壇場になってアメリカは「在庫がない」と言い出したのである

ウルグアイラウンドにおいて実務者レベルではすでに輸入で決着がついていた時期だ
輸入しろと迫っておいて在庫がないという矛盾
そのおかげで日本は食べなれないタイ米を多く受け入れざるを得なくなってしまう
今から思えば、輸入を反対する日本国民への見せしめだったと考えられる
そして令和の現在もコメ不足解消にアメリカ産米の輸入拡大が検討・実施されている

戦後80年も経っていながら、まるで占領下のようにアメリカに尻尾をふり続ける日本
そこには農政トライアングルなど投げ打っても構わないほどの利権と密約があるとしか考えられない
農業発展のため、国民のためと二枚舌を使う与党・自民党に今こそNOを突きつけるときだ

それに手を貸した公明や各法律に賛成した立憲民主・日本維新も無実ではない
このままなら日本はコメさえ自分でまかなえない、外国の属国となってしまうだろう
食料どころか日本の安全保障まで脅かされていることに気づくべきである

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